'05年07月27日(水)

ペソの価値2

世界銀行のホームページ

両替レートではないペソの本当の価値は?ということで、エドはいろんな物価を感覚的に平均して1ペソ=10円が妥当ではないかと思ったのは前回書いたとおりです。このいい加減な感覚的データを裏付けるのがこちら、世界銀行の資料です。世界銀行の発表している一人あたりGNI(国民所得)には、名目のものとPPP(購買力平価)によるものがあるのです。

前回も書いたのですが、こちらの資料には一人当たりGNIが通常使われている換算レートと、PPPによる換算レートで表示されているのですが、これによると日本とフィリピンのそれぞれの所得と順位は以下のとおり。
2004年一人あたり国民所得
名目
日本 9位 37,180ドル フィリピン 136位 1,170ドル
PPP(購買力平価)
日本 17位 30,040ドル フィリピン 126位 4,890ドル

この 購買力平価 とは、一定の財やサービスの組み合わせを各国通貨で表した場合の比率だそうです。簡単に言えば物の値段に基づいた為替レートとでも言うのでしょうか。エコノミスト誌の ビッグマック指数やスタバ指数などが有名ですが、これを幅広い品目の商品・サービスに拡大したものとでも言うんでしょうか。PPPで比べると、所得が低くても物価が安い国は物やサービスが沢山買えるから為替レート換算より豊かで、所得が高くても物価が高い国は為替レート換算より豊かでないことになります。為替ベースの統計が名目の豊かさとすれば、購買力平価ベースは、実質的豊かさとみることができるのだそうです。ちなみにPPP換算ではいまや中国のほうが日本よりGDPが大きいですよね。

PPPで見ると物価の高い日本の一人当たり国民所得は名目の80%(基準のアメリカより日本は25%物価が高い)とぐっと下がり、名目上豊かだけど実質的な豊かさでは実はアジアの中ではすでに香港に抜かれているという現実が浮かび上がります。さて物価の安いフィリピンの所得は、名目の4倍増の約5000ドルです。これで比べると日本とフィリピンの所得格差は、名目の31倍から6倍までぐっと縮まります。

そこで、物価から見たレートなのですが、日本人は名目上3万7千ドル持っていて、国内では3万ドル分の買い物しかできない。フィリピン人は名目の約1200ドルしか持ってないのに実質約5000ドル分の買い物ができるということになります。日本円は、日本より物価の安い海外で大きな使い出があるということは、感覚的によくわかると思うのですが、それをよく表していると言えるのではないでしょうか。

ちなみに、これはちゃんと経済学的にも「所得水準の低い発展途上国ほど自国通貨の過小評価の度合いが高まり、所得水準が高い先進国ほど自国通貨の過大評価の度合が高まるという経験的な現象を理論的に説明したものとして、バラッサ=サミュエルソン効果がある。」と説明されているのだそうです(参考:内閣府のHP 、バラッサ=サミュエルソン効果の説明は こちら)。

この名目とPPPの比率を使って、1ペソがいくらか再計算してみました。日本円の100円を日本よりちょっと物価の安いアメリカで使うと125円分のものが買えます。さらに物価の安いフィリピンでは、その4倍の500円分のものが買えます。もともとの100円は為替レートの換算では50ペソなので、それで500円分の物が買えるという事はやっぱり1ペソ10円なのです。

エドは、世界銀行がどうやってPPPを算出しているか知りません。知りたい方は直接問い合わせてみてください。多分いろんな品目のサービス・物の値段の統計から算出されていると思うのですが、同じお米1kg買えるとしても、コシヒカリとフィリピンのお米ではずいぶん違うしなあ。まあ、それでもお買い物などの相場を知る目安にはなる換算レートだと思います。ガイドブックに各国別に載せたら旅行前の参考になると思うんだけど、どうでしょう。

 国名  通貨  為替レート(円)  PPPレート (円) 
フィリピン1ペソ2.0010.34
米国1ドル111.56132.46
オーストラリア1オーストラリアドル85.03114.25
韓国1000ウォン109.07197.02
中国1元13.7572.95
香港1香港ドル14.3520.87
タイ1バーツ2.7010.55
マレーシア1リンギ29.6676.00
シンガポール1シンガポールドル67.2291.35
インドネシア1000ルピア11.3542.64

算出方法 PPPレート= 為替レート X 日本円割高度* X その国の通貨割安度**
フィリピンの場合: PPPレート=2円 X 1.2376 X 4.179
* 日本円割高度=日本の名目GNI/PPP GNI=37180/30040=1.2376
** フィリピンペソの割安度=PPP GNI/名目GNI=4890/1170=4.179
フィリピン以外の国も同様に算出。
参考:為替データ 2005/7/25付 Yahoo!ファイナンスなど GNIデータ 世界銀行 World Development Indicators database

おなじ方法で、他の国の「PPP」為替レートも上の表のように算出してみました。フィリピンと中国が、実際の為替レートからのお得度が高いのですが、中国のように物価・所得水準の異なる地域が国内にあると、お住まいの地域によってはだいぶ印象が違うかもしれませんね。他の国に住んでいる方で、このレートについて、「そんなことはない。もっと物価が安い(高い)よ。」などのご感想があれば、ぜひお知らせください。

'05年07月27日(水)



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