先月のある日、エドが朝食を取りながらまにら新聞を読んでいると奥さんが言いました。「あのね、今バーゲンやってるんだけど・・・。」一瞬で何が起ころうとしているか事態を把握したエドは、時計に目をやり時間がないことをアピールして「もう会社行かないと・・・。」と立ち上がりました。でも玄関へ向かうエドの背中になおも追い討ちが・・・。「日本ではバーゲンやらないよ、あのブランドは。すっごく時計安くなってるから、帰りに見るだけ見てきて・・・。」
エドは高級ブランドの服も時計も靴も買わない(買えない?)ので、欲しがる人の気持ちが実はよくわからないのです。階級レス社会の日本で、階級の象徴のような高級ブランド品というのを普通の人が持つのに何か違和感があるというか、生活全般がブランド品を持つレベルでない人が無理して買うことになんとなく違和感があったのです。もちろん只だったらエドもブランド品を欲しがると思うのですが、多分もらっても自分で使わずにヤフオクで売って現金にしてしまうだろうと思います。で、そのお金で何を買うか?新しいデジカメとか携帯とか、ノートPCも新しいのが欲しいな・・・。
エドの奥さんはブランド品への興味とは裏腹に、そういうのには全然興味を示しません。それで、エドは女性にとってのブランド品というのはエドにとってのハイテクおもちゃ程度のものなのかなと勝手に理解してみました。エドがブランド品に価値を見出せないのは、エドの奥さんがハイテクおもちゃに価値を見出せないのと一緒だと。見てもその良さがエドにわかるとは思えなかったけど、一応後学のため自分の知らない高級ブランド品の世界を垣間見るべく、奥さんに言われた某高級ブランド店に会社の帰りに寄ってみました。
こういうブランド店は世界的に同じような内装のお店を展開しているのか、店内にいるとここがフィリピンだということを忘れてしまいそう。でもお値段はフィリピンだと同じものでも日本より買うより安いらしくそこがまたお買い物上手?の駐在員奥様方をひきつけているようです。
エドは奥さんからバーゲンをやっていると聞いていたのですが、そこは高級ブランド店。赤で50%引きとか書かれた札が張ってあるわけでもないのでバーゲンをやっているようには見えません。で、お店の人に聞いてみたら、とあるガラスケースの分の時計がバーゲンの対象だと教えてくれました。えっと奥さんの言ってた時計は・・・。
お店の人に出してもらった時計には値札がついています。「このナントカカントカ(時計の名称忘れました)ダイアは普段は130万ペソ(約260万円)ですが、今バーゲンでたったの74万ペソ(約148万円)です。」えっ、ひゃくさんじゅうまんペソ!えっ、えっ、えっ、これってダイアがついた単なる時計でしょ。何でそんなに高いの・・・?エドの頭の中をディーラーから納車されたばかりのシートにビニルのついた車がぐるぐる走ります。元の値段なら車が、値引き後の値段でも軽なら買えそう。この時計が車と同じ値段???
「ちょっと考えさせて。」とか言ってお店を出ましたが、もちろん考えるまでもありません。きっとあれは時計の形をした宝石とかと同じ種類の装身具なんでしょう。エドの奥さんにあとで「あんな高いの買えるわけないじゃん。」と値段を言ったら、どうも一桁勘違いしていたようでした。それでも十分高いんだけど・・・。まあお陰で世の中にはエドの知らない世界がまだまだ沢山あることを勉強させていただきました。もしかしたら階級社会のフィリピンにはこういうのをホイホイ買うお金持ちのお客さんが沢山いるのかも?
'05年08月21日(日)
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