読者の皆様の中には、「マニラに旅行に行く前にこのホームページでいろいろ調べました。」と言ってくださる方もいらっしゃいます。2月にマニラに来た読者の方は、 燐光群 という劇団の女優さんでした。
エドは芸術とは縁遠い人間で、旅行に行っても美術館にはぜんぜん行かないし、自分から舞台などに足を運ぶこともほとんどないのですが、なぜか周りには自主制作映画を作る人や劇団に所属する人たちがいつもいる様な気が・・・。どこもチケット販売ノルマが厳しいからなのか、もしかして「エドは芸術がわかる」そんな雰囲気を醸し出している(笑)からなのか、良く「公演見に来ない?」とか声をかけられます。
2月にマニラを旅行した女優さんは、劇団で昨年上演したフィリピン現代戯曲上演シリーズを通してフィリピン人の知り合いができて、その知り合いを訪ねてマニラに遊びに来たそうです。その旅日記はそのうち「マニラ絵日記」に掲載させてもらえる予定なので、ご期待ください!
ところで彼女の劇団が世田谷の梅ヶ丘で<フィリピン現代戯曲上演シリーズ>第二弾として、5月10日(火)〜15日(日)日本未発表の戯曲『フィリピンひとりぼっち 男の物語 "TAONG GRASA" 女の物語 "USAPANG BABAE"』を上演するそうです。以下はその紹介です。フィリピンに興味のある方ぜひご覧くださいね。マニラからだと見に行けないのが残念だなぁ。
"TAONG GRASA" written by ANTON JUAN "USAPANG BABAE" written by CHRIS B. MILLADO
演出=吉田智久 訳=桑山沙衣子 上演台本・芸術監督=坂手洋二
路地裏の男が自らの肉体を賭け格闘する相手とは?追いつめられた女たちの孤独な輪舞……。
あなたはこの街で一人で生きてゆけますか?2004年『フィリピン ベッドタイム ストーリーズ』に続く燐光群<フィリピン現代戯曲上演シリーズ>第2弾!
私ども燐光群では、5月10日(火)〜15日(日)にアトリエである梅ヶ丘BOXにて『フィリピンひとりぼっち』を上演致します。
昨年11月に森下スタジオにて初演、高評を博した『フィリピン ベッドタイム ストーリーズ』の成果を踏まえた<フィリピン現代戯曲上演シリーズ>第二弾となります。
今回は、日本未発表の二つの戯曲"TAONG GRASA"、"USAPANG BABAE"を上演致します。いずれの作品も、現代フィリピン社会において、問題を抱えながらもたくましく生きる人々にスポットを当てながら、同時に、日本及び他の国々にも見受けられるフィリピンの社会状況を映し出しています。
2002年度文化庁在外研修派遣制度によりフィリピンにて一年間の研修を経て、今もなお当地の演劇関係者との交流を深めている劇団員の吉田智久が、前作に続き演出を担当します。ご多忙のこととは存じますが、ぜひご高覧下さいますよう、お願い致します。
男の物語 "TAONG GRASA"
腹を空かせた男が、自分の腹と会話するひとり芝居。数々の賞を受賞した燐光群『だるまさんがころんだ』で印象的な父親役を演じた鴨川てんしが出演します。一見ユーモラスに思われるシチュエーションですが、孤独や飢えといった普遍的なテーマを軸に、フィリピン社会に影を落としている貧富の格差、汚職問題等を見据えた作品となっています。モノローグドラマという最小単位の演劇から多様化する社会問題に向き合い、また、食欲という人間の本能を基点にして、異なる文化における「生」のありようを見つめ直します。
女の物語 "USAPANG BABAE"
3人の「マリア」がそれぞれに自分の物語を語る三部作です。1990年、フィリピンにてパランカ賞(文学賞)第一位を獲得。不法就労、家庭内暴力、ドラッグといった社会問題を通じて、現代フィリピンの女性が置かれた様々な状況が浮かび上がります。
燐光群は、これまで東南アジア・フィリピンの演劇との交流を重ねてきました。
1996年・1999年にPETA(Phillipine Educational Theater Association)及び、そのメンバーであるルドガルド・ラバドによるワークショップに劇団メンバーが参加しています。
1999年『トーキョー裁判 1999』、2000年国際交流基金共同主催『南洋くじら部隊』の両作品において俳優ノル・ドミンゴ(PETA)を招聘、『南洋くじら部隊』では他にもインドネシアから7名、アメリカから1名の俳優を招いての国際共同製作として、東京及び沖縄にて三都市のツアーを行い、成果を上げています。
そして、2002年度文化庁在外研修派遣制度によるフィリピンでの一年間の研修を終えた劇団員の吉田智久を中心として、これまでの交流を踏まえ2004年11月に国際交流製作作品『フィリピン ベッドタイム ストーリーズ』を日本初演致しました。
芸術監督=坂手洋二のトータル・ディレクションのもと、フィリピンの俳優達と燐光群の俳優、演出を担当する吉田智久といった、豊富な経験を持つ新進気鋭のアーティストたちによる、これまでにない豊かな国際交流が実現しています。
いずれも舞台をベッドルームとしたフィリピンの三本の短編戯曲から成るこの作品を、日本(語)版とフィリピン(語)版の両方とで製作・上演し、高評を博しました。「ベッド」を基軸にした一つの作品として、独自の世界観をつくることができたのと同時に、新たな国際共同製作のあり方を提示することができたといえるでしょう。
『フィリピンひとりぼっち』は、これらの成果を踏まえ<フィリピン現代戯曲上演シリーズ>第二弾として上演されます。フィリピン演劇関係者との交流と、作品を取り巻くメンバーシップを元にした、実験性に富んだ継続的な取り組みです。
そして、作品のレパートリー化や連続公演を想定しつつ、今一度「国際交流」の原点を見つめ直し、各国で多様化する社会問題へのアプローチを図ります。どうぞご期待下さい。
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