日本にいたとき、こんな話を聞いたことがあります。中東のどこかだったか、とある国からきた王様(か王子だったか、とにかくその国の王族の偉い人)が、どこかに見学に行った時の話なのですが、そこは靴を脱いで見学しないとならない場所だったそうです。
お寺とか神社とか日本家屋の中に入る場合は、靴を脱ぐというのはよくあることですが、その王様(か王族の偉い人)は上がり框で片足立ちというか片足を上げたそうです。周りの日本人はその意味がわからずキョトンとしました。「なぜ、こんなところで片足立ちなんだ…?」そこへ王様(か王族の偉い人)の御付の人が駆け寄り王様の靴を脱がせたそうです。片足あげるのは「余の靴を取れ。」ということだったんですね。なかなか王族などと接する機会のない普通の日本人には理解しがたい行動だったようです。
さてこのエピソードが、なんで写真のマニラのインターナショナルスクール(ISM)に関係するのでしょう?というのも、ここにお子さんを通わせている人から冒頭のエピソードを思い起こさせる話を聞いたからなのです。
フォートボニファシオの日本人学校(MJS)やブリティッシュスクールの近くにあるISMは、外国人やフィリピン人の有力者の子弟が通う学校で、幼稚園の年長(だったかな?)から高校生までが1箇所の学校で勉強しています。そして進学先は欧米の大学。日本でも子供をわざわざインターナショナルスクールに通わせる人も多いですが、日本人駐在員も同じ。MJSではなくISMにお子様を通わせる方もいます。でも日本から来てすぐにISMに入れる人よりは、MJSに小学校通って中学からISMとか、アメリカから転勤してきた人、こちらに永住している人などに多いようです。入学に当たっては試験もあるようですが、小学校の低学年ではテストに落とされたという話は聞きませんでした。中学・高校の入学試験についてはエドが聞いてみた範囲ではよくわかりませんでした。でも数学の問題が英語で出題されたら解ける問題もわからなくなりそうですね。
それで、冒頭のエピソードを思い起こさせる話というのは、フィリピンのお金持ちの子供の話なのです。国籍はアメリカなのか、フィリピンなのかわかりませんが、ISMには普通の外国人の子弟以外にフィリピン人の大金持ちの「お子様」たちも通っているそうです。彼らは小さいときからヤヤ(乳母)や身の回りの世話をするメイドが付きっ切り。なんでも世話をされるのに慣れてます。公園で遊ぶときもボディガードやメイドなどに取り巻かれて遊んでいる子供もたまにいるらしいです。
そうやって甘やかされて育つと、自分で着替えることもできないらしく、ISMの体育の授業の着替えの時もメイドが着替えさせるそうです。それを聞いて冒頭の王様の話を思い出しました。それにしても学校内に家庭の使用人が付いてきて、「お子様」の「お着替え」のお世話もするって日本人的には理解しがたいですね。
以上は聞いた話なんで、ホントにそんな「お子様」がISMに沢山いるのか真偽のほどはわかりません。でも沢山いてもぜんぜん不思議ではないでしょう。こんな「お子様」たちが大きくなって王様ではないけどこの国の支配階級になるのかな?1日一人1ドルの貧困ライン以下で暮らす人も多いこの国に、一方で自分で着替えもできないほど甘やかされて育つ「お子様」たちがいるなんて、他人事ながらこの国の将来がとっても心配ですね。
'05年05月22日(日)
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